2025年1月22日水曜日

(再読)陽気なギャングの日常と襲撃

 
陽気なギャングの日常と襲撃

著者:伊坂幸太郎
発行:2015年10月15日第22刷、初版2009年9月5日(単行本:2006年5月)

さらに面白くなっている。伊坂作品中の会話はどれも楽しいのだが、本作はこれまで読んだ中で最高だろう。

おかしいなぁ....、今回読んでる最中は「面白のは面白のだが、何だか話がゴチャゴチャしてて...」という印象で、「最高」という評価は抱けなかった。これも「再読あるある」なのだろう。

次は著者による「新書刊行時のあとがき」から:
今回の続編は当初、四人の銀行強盗を中心に、毎回主人公を替え、短編の作品を描いてみよう、ということではじまりまり(略)P.424 
(略)最初の四つの短編については、独立した短編ではなく、長編の第一章として組み込み、第二章以降は、銀行を襲ってからのお話として書き下ろさせていただきました。P.425

「ゴチャゴチャしてる」との印象を抱いたのは、「四つの短編を一つの長編」にしたことが理由かもしれない。その後の第二、三、四章も面白いのだが、「この物語中でのつながり」(伏線回収?)が、いつものような「鮮やかさ」を感じなかった。

ところで、『アヒルと鴨のコインロッカー』の再読時に気づいたこと:
椎名の母からの電話のシーンが良い、笑った。伊坂幸太郎が描く女性は魅力的(オモロい?)な人が多い。と思っていたら、次の一節に驚いた:
どうせなら喫茶店のほうが洒落ているのに、と思った。たぶん、祥子叔母さんが喫茶店を経営しているからだろう。響野という少々変わった旦那さんと、夫婦でやっている。P.249

そして今回、「祥子叔母さん」の方から:
祥子は、自分の甥が最近すっかり大人びて、ボブ・ディランそっくりの声で歌を聞かせてくれる、これがまた、なぜか泣けてくるほど上手なのだ、とそんな話をしてくれた。P.408

伊坂幸太郎ファンに周知のことかもしれないが、こうやって「自力で発見」は楽しいものだ。これだから再読は止められない。

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