2025年8月29日金曜日

ペッパーズ・ゴースト

 
ペッパーズ・ゴースト

著者:伊坂幸太郎
発行:2024年12月30日文庫初版
単行本:
2021年10月

再読中の伊坂幸太郎の作品だが、こうやって新作(とはいえ単行本は4年前)を読むと、「毎度面白い作品を書くなぁ」と感心する。2009年の著書「あるキング」を読んで、「楽しめなかった」的な投稿をしているが、それから約10年後の本作品を読むと「やっぱり上手いなぁ」と唸ってしまう。

何度かこのブログでも書いてるが、私にとって「小説の魅力を痛感する作品を書く人」として真っ先に挙げるのが伊坂幸太郎。もちろん他にも好きな作家はいるが、「小説だからこその魅力」をもっとも端的に表現してるのが伊坂作品なのだ、私にとって。

本書には、SFや探偵ものの小説にありがちな「登場人物表」がある。伊坂作品としては珍しいので「あれ、そんなに登場人物がわかりにくいのか?」と疑問になったが、結果的には「登場人物表」を参照することはほとんどなかった。つまり、伊坂作品の登場人物、どの人もかなり特徴的で「人物表」なるものは不要なのだ。

その点も、伊坂作品の面白さである、つまり「物語を作っているのは "人" なのだ!」。荒唐無稽な出来事があったとしても、それを受けとめる登場人物が「イケてない」と物語としてはつまらないのだ。それって小説だけじゃなくて「現実世界もそう」だよね?

そんな登場人物も毎回楽しみなのだが、本作でのお気に入りは「アメショーとロシアンブル」。『マリアビートル』の「蜜柑と檸檬」を彷彿させる二人だが、そのキャラクター設定は秀逸としか言えない。やってることは残酷なのだが、人としての魅力があるのが不思議でもあり楽しい。

私の性格や行動は完全に「アメショー」タイプ。「蜜柑と檸檬」ではどちらか忘れたが、小説を読んでる方、機関車トーマス「ファンではない方」だな(笑)

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