2026年1月11日日曜日

マイルス・デイヴィスとジミ・ヘンドリックス 風に消えたメアリー

マイルス・デイヴィスとジミ・ヘンドリックス 風に消えたメアリー

著者:中山康樹
発行:2014年7月31日初版

2017年の投稿 Kenny Burrell と Jimi Hendrix に書いたように、Jimi HendrixJazz の関係と同様に、「Miles DavisJimi Hendrix と繋がりある」ことも知っていた。ただ誤解していたかもしれないのは「Miles から Hendrix へラブコール」ではなく、その逆であった可能性だ。

本書で「学んだこと」はそれぐらいかもしれない。他にあるとすれば「Gil Evans(ギル・エヴァンス)の存在」ぐらいか。

本書の次の節を読んだ時は「あぁ、読むのやめようかなぁ...」となった:
本稿の冒頭で述べた「ジミ・ヘンドリックスの影響」を決定づける確証は、この《マドモワゼル・メイブリー》という曲のテーマ・メロディーにある。イントロダクションに用いられたメロディーは、ギルが作曲したものでも、ましてやマイルスが書いたものでもない。それは当時マイルスとギルが熱い視線を送っていた黒人ロック・ギタリスト、ジミ・ヘンドリックスが書いた《風の中のメアリー(The Wind Cries Mary)》という曲そのものだった。P.18

事実としてはそうかもしれないが、空想なのに「半ば断定的」に読めるように書かれると嫌になるのだ。上記の引用を支持するような投稿は確かにある、例えばこの投稿の最後:
While Miles received credit for all tunes on Filles, Gil Evans’ fingerprints are easy to discern on the album, many melodies are his though his name did not appear on the album. Two pieces of evidence: the primary line of “Petits Machins” later became “Eleven” in Gil Evans’ band of the 1970s, while “Mademoiselle Mabry” borrows a chord progression from Jimi Hendrix’s “Wind Cries Mary”—the guitarist a new discovery for both Miles and Evans. 

末尾に確認した YouTube の音源を掲載。

確かに "The Wind Cries Mary" の冒頭のフレーズが、"Mademoiselle Mabry" の冒頭とそれ以降にもチラホラと聞こえる。個人的には、
ジミ・ヘンドリックスが書いた《風の中のメアリー(The Wind Cries Mary)》という曲そのものだった。
このように強調するほどには「"The Wind Cries Mary" ではない」が正直なところ。Jazzの楽曲で、他のジャンル(Rock や Blues など)からのフレーズの引用が「こういうもの」なのかもしれないが、「なんだかなー」という感じ。

音楽に限らず「芸術」を言葉にするのは難しい。好きな人ほど「言葉にしたくなる」、「アーティスの人物像に迫りたくなる」、そんな気持ちは理解できる。理解できるが、史実が明らかでない点への触れ方、取り上げ方は慎重になるべきだろう。「フィクション」と断って述べるのは良い(多分、そういうのは読まない)が、あたかも「事実である」ように誤解されるのは気分が良くない。

偉人の物語の多くは「フィクションである」と思ってる、特に「細かい描写があるほど」にフィクション感は増幅する。「そういうものです」と割り切れるほど私は歴史を軽視できないのだ、それが芸術の分野であっても。

Jimi Hendrix の "The Wind Cries Mary"
Miles Davis の "Mademoiselle Mabry (Miss Mabry)"

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