| 王妃の帰還 著者:柚木麻子 発行:2013年1月25日初版 |
「タイトルと表紙だけ」で選んだ『文学キョーダイ!!』であったが、仮に柚木麻子の本を読んでいなかったら、この「タイトルと表紙」では決して読まなかっただろう。
さらに、学園もの(高校生以下が主人公の物語)は好みではないのだが、柚木麻子だけは今のところ唯一の例外。通常は「高校生がそんな深い思考はしないだろー」とツッコミをたくなるし、どうしても「漫画ちっく」になって面白くない。柚木麻子の物語は何故だか違和感なく読める。
その理由の一つに
子どもの問題だが、大人や社会一般の問題を示唆している
という点があるかもしれない。次を箇所からも、そう考えられる:
この学園はおかしい、と範子は初めて、自分達を私を支配するシステムに疑問を抱いた。お行儀や身だしなみに関しては厳しく干渉するのに、肝心の生徒の心に何が起きているか、と言ったことに先生達は異様なくらい無関心なのだ。もしかすると、範子の悩みも、いや2年B組の問題も、建前ばかりにこだわるこの大人社会の弊害なのかもしれない。P.70
日本に来た外国人と話す機会が少なくないのだが、彼らが日本を「秩序だって、お互いに敬意を払う社会」と評することを耳にする。以前、ニュージーランドのメール友達に、日本社会を説明する際に「本音と建前」で考察したことがある。ある意味「日本は、建前をバランスよく使ってる社会」とも言えるかもしれない。ただ、「建前ばかりにこだわる」と本書が描くようなギスギスした状況になるのは明らか。
先に書いたように、学園ものはあまり得意ではないが、本書に関してはむしろその舞台設定だからこそ、社会の構造と重ねて読んでるのかもしれない。柚木麻子の作品が違和感なく読める理由も、そこにあるのだろう。

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