| 化学の授業をはじめます 著者:ボニー・ガルマス 原書:Lessons in Chemistry 翻訳:鈴木美朋 発行:2024年1月15日初版 |
ところが、中盤まで読むリズムが悪い。面白くないわけではないのだが、とにかくリズムが悪い。一つに考えられるのは、日本語訳であること。技術本やドキュメンタリーの翻訳はあまり違和感がないのだが、フィクションの翻訳本でよくある。典型的な例は Raymond Chandler の "Big Sleep"、原書は翻訳版とは全く違った印象。
とはいえ、中盤を超えたあたりから、「馴れた」ためか、かなりリズムよく読めた。面白い物語であるのは確かなのだ。
エリザベスは意義を唱えた。「男性も女性も、どちらも人間です。人間であるわたしたちはみんな、受けたしつけの副産物があり、欠陥だらけの教育制度の犠牲者であり、それでも自分の行動を選ぶことができる。要するに、女性を男性より劣ったものとして貶め、男性を女性より優れたものとして持ちあげるのは、生物的な習性ではありません。文化的な習慣なんです。はじまりはふたつの言葉です。ピンクと青。それがすべての元凶です」P.326
物語の舞台は1960年代、私は想像するしかないが、男女差別は現在と比較にならないほど顕著だったことは分かる。それは、「今でも存在する」から想像に難くない。本書は男女差別だけはない、さまざまな「社会通念上の当然の決まり事」への疑問が露呈される。
主人公の「化学者の目」を通して見る社会は、私にとっては「当たり前」なのだが、時代はそうではなかった。ただし、「科学者の頭でっかちの理解」と思われがちだが、そうではない。ある意味「科学を正しく」使ってるとも言えるかもしれない。
ところで、私は高校の頃、数学と物理は大好きだったが、化学が全くもってダメだった。当時の教え方は「暗記」としか思えず、先生もそういう教え方をしていた記憶がある。「教え方が悪い」と批判するのは簡単だが、「物理好きでも好きになるような化学の教え方があったのでは?」との疑問は拭えない。
「今、高校の化学を勉強したら理解できるか?」と問われたら「YES」と答える。理由は「自分で学ぶ方法を知ってるし、高校生の頃よりも化学に興味があるから」です。
とはいえ、今となっては「高校の頃は化学も得意で、希望の大学に行きたかった」とは決して思わない。そうなっていたら、今の職業は選んでいないだろうから。

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