2026年7月15日水曜日

Project Hail Mary

Project Hail Mary

脚本:Drew Goddard
監督:Phil Lord, Christopher Miller
原作:Project Hail Mary by Andy Weir
公開:2026年3月20日(2026年3月20日JPN)
邦題:プロジェクト・ヘイル・メアリー



原書を読んで楽しんだ作品ほど、映画化されたものを観るのに躊躇する。同様に Andy Weir の原作の The Martian は楽しんだのだが、「原作の短縮版」という印象も拭えなかった。そして「主演は Ryan Gosling で良いのかなー」の危惧もあった。

そんなことをウジウジと考えながら観るのを後回しにしていた。

結果的には「面白かった」し、Ryan Gosling がかなり良かった。 The Martian より原作を上手く脚色している。つまり、小説にはない映像や音声の工夫が盛りだくさん。原作にあるユーモアも十分に備えている。


Blip-A
Blip-A detected.

これ、機械から発生られるのだが、かなり笑った。その後も "Blip-B, C, D" ぐらいまで出る。
“Whoa, whoa, whoa!” I say. I frantically scan the panel until I see a button labeled “Mute Proximity Alert.” I press it and the noise stops. 
I scan the rest of the screen. There’s a lot of data here, all in a window titledBLIP-A.” I guess if there were multiple contacts I’d get multiple windows. Whatever. It’s all just raw numbers about the reading. Nothing useful like an isometric Star Trek scan or anything.

「うわっ、うわっ、うわっ!」私は叫んだ。あわてて操作パネルを見回し、「近接警報を消音(Mute Proximity Alert)」と書かれたボタンを見つける。押すと、やっと警報が止んだ。

今度は画面全体に目を走らせる。大量のデータが表示されている。そのすべてが 「BLIP-A」 というタイトルのウィンドウにまとめられていた。たぶん検出対象が複数あれば、その数だけウィンドウが開くんだろう。まあ、いい。表示されているのは観測データの生の数値ばかりだ。『スター・トレック』みたいに、立体映像で対象を表示してくれる便利なスキャンなんてものは、もちろんない。

原作では "Blip-A detected" は音声通知ではなく、"Blip-A" という名称の表示機器のようだ。これは映像化の方が「上手い変更」だな。

今後私は、嫌な奴を目撃したら "Blip-A detected" と言うことしよう(笑)


Rocky

原作から抱いた Rocky のイメージは「5角形の甲羅の亀」だった。しかし映像化されたものとは全く違ったので、原作を読み直した:
Rocky is smaller than a human. He’s about the size of a Labrador. He has five legs radiating out from a central carapace-looking thing. The carapace, which is roughly a pentagon, is 18 inches across and half as thick. I don’t see eyes or a face anywhere. 
Each leg has a joint in the middle—I’ll call it an elbow. Each leg (or should I say arm?) ends in a hand. So he’s got five hands. Each hand has those triangular fingers I got a good look at last time. Looks like all five hands are the same. I don’t see any “front” or “back” to him. He appears to be pentagonally symmetrical. 
He wears clothing. The legs are bare, showing the rocklike skin, but there’s cloth on the carapace. Sort of like a shirt with five armholes. I don’t know what the shirt is made of but it looks thicker than typical human clothing. It’s a dull greenish-brown, and inconsistently shaded.
ロッキーは人間より小さい。大きさはラブラドール・レトリバーくらいだ。中央にある甲羅のような部分から、五本の脚が放射状に伸びている。その甲羅は、おおよそ五角形で、幅は約18インチ(約46センチ)、厚さはその半分ほどだ。目や顔らしいものはどこにも見当たらない。

それぞれの脚には途中に関節が一つある。ひとまず「ひじ」と呼ぶことにしよう。脚(いや、腕と言うべきだろうか?)の先には手が付いている。つまり、手は五つある。どの手にも、この前よく観察できた三角形の指が付いている。五本とも同じ形をしているようだ。彼には「前」と「後ろ」があるようには見えない。五角形を基準にした対称構造になっているようだ。

服も着ている。脚はむき出しで、岩のような皮膚が見えているが、甲羅の部分は布で覆われている。五つの袖穴が開いたシャツのようなもの、と言えば近いだろう。その布が何でできているのかは分からないが、人間の服よりもずっと厚手に見える。色はくすんだ緑がかった茶色で、色むらがある。

映像化された Rocky はかなり原作に近いようだ。凄いなー(笑)

ただ残念だったのは、Rocky とのコミュケーション方法を模索するシーンが簡素化されていたこと。
Fortunately, Rocky speaks with musical chords. While it’s very difficult to make a computer turn human speech into text, it’s very easy to make a computer identify musical notes and find them in a table. 
From that point on, my laptop screen shows me the English translation of what Rocky is saying in real-time. When a new word comes up, I enter it into my database and the computer knows it from then on. 
幸いなことに、ロッキーは音楽の和音で話す。コンピューターに人間の会話を文字起こしさせるのはものすごく難しい。でも、音階を聞き分けて、対応表の中から探させるだけなら簡単だ。 
それからは、ロッキーが話すそばから、私のノートパソコンの画面に英訳が表示されるようになった。知らない単語が出てきたら、私がデータベースに追加する。以後、その単語はコンピューターにも分かるようになる。

Stratt

原作ではかなり「無慈悲で冷徹」な印象の Eva Stratt は、映像化では「優しい」印象。とはいえ「厳しい」のだろうが「優しい」印象があるのは役者の Sandra Hüller(サンドラ・ヒュラー)だからかもしれない。原作の Stratt を期待していたが、これはこれで良かった。

最後に、映像化ならではの脚色をもう一つ。Stratt が "Sign of the Times" をカラオケで歌うシーン。物語の背景と歌詞があまりにも一致してるのに驚き、同時に涙した(笑)

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